Gunosy Tech Blog

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Regional Scrum Gathering Tokyo 2019参加レポート

広告技術部の石田です。 先日Regional Scrum Gathering Tokyo 2019に参加してきました。

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心理的安全性ゲームの様子

この写真は「心理的安全性ゲームをやろう」というワークショップで撮ったものです。 このゲームを他の参加者と一緒にやって、何気ないひと言やチームメンバーの優しさって大切なんだなあと思いました。

さて、本題のレポートに入りたいと思います。

目次

「計測」と「継続」の重要性

一日目と二日目の基調講演の両方で「計測」と「継続」の重要性を訴えていることが印象的でした。

メビウスループ

一日目の基調講演の発表者のガブリエラさんは、「計測可能なものが得られるもの」と述べ、ご自身が関わった仕事について語りました。 そこで彼女は開発プロセスをディスカバリー(問題発見)・オプションピボット(解決策の決定)・デリバリーループ(リリース、計測、振り返り)の三段階に分ける「メビウスの輪」という考え方を提示しました。 このメビウスを繰り返すことで様々な案件を成功に導いてきたそうです。

公演では彼女が担当したいくつかのプロジェクトを紹介してくれましたが、ここでは病院の院内感染を減らすプロジェクトに触れたいと思います。

ガブリエラさんはそのプロジェクトで、院内感染の原因として「医師が手を洗っていない」という問題を発見し、手を洗った人に10ドルのスターバックスカードを配りました。 すると皆が手を洗うようになって良かったのですが、更に調べていくと単にカードを配るだけでは駄目で、「誰かに見られていると手を洗うようになる」ことが判ったそうです。 このように、問題を一度解決したらそれで満足してしまわず、計測や振り返りを続けるメビウスのループが必要なのだと彼女は言います。

自己満足しない高い目標

二日目の基調講演の発表者のクリスさんは、チームの学習とレトロスペクティブ(振り返り)について語りました。 最初に彼は「ゆでカエルの理論」に触れ、今は自分たちのチームが順調でも競合他社がもっと速いペースで変化していけばある日突然追い抜かれる緊急事態が訪れると言います。 それを防ぐためには「学習セッション」を開始し、チームが変わるための新しいアイデアを見つけて実践していくことが必要です。 学習するためにはプロセスに必ずレトロスペクティブを入れるべきで、それにはアクションアイテムが付属していなければなりません。

振り返りを通じて様々なアクションを実行しても、中には失敗に終わるケースも少なくありません。 クリスさんの職場では「ラーニング・ギルド」といって、チームに技術メンターをアサインして勉強会をやったそうですが、これはうまくいかなかったそうです。 また、マネージャーの仕事をカンバンに並べて興味のある人に自発的にやってもらう「マネジメント・カンバン」という制度も、管理業務が増えて開発の時間が減るという問題が起きてやめてしまったそうです。

しかし、今ではラーニング・ギルドの代わりに知見を持った社外の人を招待して新しいアイデアを話し合う試みや、カンバンではなく「マネジメント自治会」という別のやり方で課題に取り組んでいます。

このように、失敗しても課題解決の手を止めず、続けていくことが重要で、そのためには高い目標を掲げて簡単な改善に自己満足しない姿勢が必要だとクリスさんは言います。

以上から、わたしは「計測」と「継続」の重要性を学びました。

透明性は続けることで信頼を生む

また、「透明性は続けることで信頼を生む」という主張も印象的でした。

過去よりも現在を そして現状を

山本雄一郎さんはアジャイルコーチからICT部の部長への転職後、スクラムを通じて他の部署との信頼関係を構築したエピソードについて語りました。 転職当初は新システムのリリース後で多くのイシューが溜まっていましたが、過去のイシューよりも各部署が現在求めている改善を優先してリリースしていき、会議でもイシューの総数よりも状況が良くなっていることを伝えていくことに心を砕いたそうです。

それだけでなく、職場の目に付く場所にプロダクトバックログアイテムを貼ったり、ペーパーモックを作ったり、大きなディスプレイの前にチームが集まってリリース前のデモをしたり、見える化も行いました。 そうするうちに他の部署から細かいことを言われなくなってだんだん信頼してくれるようになったそうです。

エンジニア採用を「アジャイルな感じでやりたい」

梶原成親さんはエンジニアの採用活動に透明性を確保したことでエンジニアの信頼と自発的協力が進んだエピソードについて語りました。 最初に採用チームに対してエンジニア採用活動を「アジャイルな感じでやりたい」と言ったときは理解を得られませんでしたが、「対話・顧客との協調を大切にしたい」と言葉を変えたことで伝わったそうです。

そして具体的施策として採用チームの取り組みをバックログに起こしてカンバン(Trello)に並べ、誰でも見られるよう社内公開した上、全員を関係者としてjoinさせました。 また、採用チームのやり取りは原則としてパブリックなSlackチャンネルで行うようにしたり、議事録を公開しました。

すると、次第にエンジニアたちにも採用チームの中で何が起きているのかわかってきて、それぞれの立場でベストを考えてくれるようになり、自発的にカードを取って協力してくれる人も現れたそうです。 「採用のため」という文脈でテックブログの執筆やイベントの登壇をしてくれる人も増えました。

お二人の発表から、透明性の担保を続けていくことでチームの外の人々の信頼がひらけ、組織は変わっていくのだということを学びました。

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メモを取りながらコーヒーブレイク

突き抜けた個性と差別化戦略

三日目のヤッホーブルーイングの井手さんの公演には大変感動しました。

熱狂的なファンを生み出す

「よなよなエール」で知られるこの会社では、「誰も歩まない道」を進むことで他社との差別化を図っています。 その戦略は常にトレードオフが伴うものであり、活動の間のフィット感を重視します。

井手さんは楽天ショップオブザイヤーの授賞式や世界ITサミットの会場にインベーダーや歌舞伎役者の仮装をして登場し、会場を大いに沸かせました。その様子をFacebookで公開すると、99.9%の人は好意的な反応をしてくれますが、中には批判的なリプライを送る人もいます。 また、お台場に5000人のファンを集めてビールを飲みながら歌や盆踊りを楽しむ「超宴(ちょう・うたげ)」という1日限りのイベントも行いました。このイベントは数千万円の赤字を出したそうですが、このような売上に直結しないことにも敢えて取り組むことを大切にしているそうです。

この、熱狂的なファンを生み出す目的のために熱狂的になれないファンを諦めたり、目先の売り上げを捨てて収支を度外視したイベントを行っていくことを「トレードオフ」と呼び、こうした活動同士がつながりを持つよう「フィット感」を考えて企画推進することで、競業他社がひとつを真似しても全部を真似するのが難しい状況を作っていくことを「差別化戦略」として掲げており、それが「誰も歩まない道」なのだと言います。

人それぞれ個性が違う

また、よなよなエールのチームづくりにおいては人それぞれ個性があるので、それをお互いに理解することを重要視しています。 そして、リーダーは様々な個性を認めてそれらを伸ばしていく存在と捉えます。 井手さんのように奇抜な格好をしてどこへでも宣伝に向かっていく人もいれば、分析が得意な人や企画が好きな人など、会社には様々な個性があります。それらを伸ばし、違った個性を結集することでチームの力を高めていくことを理念とします。

チームメンバーはみんな違って良いのだ・それをお互いに理解することが大事だという考えに、わたしはとても感動しました。

感想

最後に全体を通じた感想を述べます。

自己満足と心理的安全性

わたしには「自己満足」という言葉がとても心に響きました。

日本の会社は上から下の上意下達の伝統をなかなか破れません。 普段からKPTなんかをやっていても、本質的なレトロスペクティブになっておらず、具体的なアクションにつなげていけないと感じるチームメンバーもいるでしょう。

ただ、それほど悪い状況でもなく、物事は順調に進んでいるように見えるので、自己満足して危険のシグナルを見過ごしてしまいます。 そういうチームには本来の心理的安全性がまだ醸成されていないのかもしれません。

自分が変わることで道がひらける

では、そんなときにどうしたら良いのでしょう? 他人を変えるんじゃなく、自分を変えるんです。

自分を変える、その行動が上司や同僚に必ず影響を与えます。 そして気づくんです。チームメンバーはみんな違って良い。個性を伸ばし、違った個性を結集することでチームワークは高まっていくのだと。 そこで初めて単なる疑問ではなく、本当に自分たちのプロダクトをもっと良くしたいという意識が全員に芽生えます。

さいごに

Gunosyではそのような現状をより改善したい熱い思いを持っているエンジニアを募集しております。 個性を認め合えるわたしたちのチームと是非一緒にプロダクトを開発していきましょう!

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