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CTO・VPoE・VPoPの分立とCTO

こんにちは、GunosyでCTOをしている@y_matsuwitterです。 こちらの記事はGunosy Advent Calendar 最終日の記事となります。

今回は、先日登壇したIVS CTO Nightというクローズドなイベントで話した自分の中でのCTO像というところについて、こちらでも文章に起こそうと思いまして記事を書いています。

CTO・VPoE・VPoPという3つの役割

開発組織について考える時、今回のCTO Nightや、多くの勉強会でも語られる課題として "CTOとはなんだ" というものがあります。 この問については、会社やチームのステージにもよりけりだという意見に自分も賛成なのですが、一方で都度最適な形を見つけるためにはどういう観点で考えるべきなのかは別な課題です。

今回のCTO Nightでは、自身が上場を経た現在の組織でこの課題にどう向き合っているかを整理して話をしました。

現在Gunosyという開発チームのトップには、CTO・VPoE・開発本部長という役職が置かれています。

この形態にした根拠として、いわゆる技術組織のトップとしてのCTOという役職のすべきことの分類があります。 このCTOの役割を眺めた時、そこには技術責任者(CTO)、マネジメント責任者(VPoE)、事業執行責任者(VPoP)という三者の役割が内在されているのではないでしょうか。

簡易にこの3者について役割を見てみると、

  • 技術責任者(CTO)
    • 組織が課題に対して十分な技術力を保てるよう支援し、到来する新技術について組織のスタンスを明確にする。
  • マネジメント責任者(VPoE)
    • メンバーの採用から育成、組織形態の設計を通じて、人の生産性とその成長を最大化する。
  • 事業執行責任者(VPoP、Product Owner、プロダクト責任者)
    • 事業の短中期的な開発を主導し、事業目標の達成に責任を持つ。

個人的には組織が大きくなる、プロダクトが大きくなるほどにこの3者の役割それぞれの負荷が相当に大きくなるものと考えており、すべて一人でこなせる超人も中にはいるのかもしれませんが、ほぼ不可能な分量になるのではと思います。 すべての役割は組織成長にとって重要かつ巨大な問題であり、それぞれの課題に集中するメンバーがいる必要があると思います。

2017年6月よりGunosyではこの3者を別々なメンバーで回すことを明示化し、現在にいたります。 自分はその中でCTOという立場で組織の技術責任を司っています。

CTO(技術責任者)という役割について

今現在自分が担当するCTOという役割の中で重視しているのは下記の2点です。

①経営面での技術的意思決定

技術的意思決定と書くと非常に曖昧ですが、大きくは「事業を技術的な改善で加速していく」「事業を脅かす技術的課題に対処する」という2つへの対応が挙げられます。

前者で言えば、例えば過去から積み上がった技術的負債をコストパフォーマンス的に許容可能な形で改善するプロジェクトを経営含めて推進していくことです。

その他、今年はパーソナライズ基盤の大規模な刷新を進めるなど、技術面で既存事業を更に成長させるということを考えてきました。

後者については、今後登場する技術次第で自社のサービスが陳腐化しないか、そういった流れを読み自社の意思決定に役立てるということをやっています。

パーソナライズ技術でどういったアルゴリズムが主流になっているか、コンテンツ配信技術に変化がないか、こういった一つ一つの技術に対してポジションを取ることがCTOの役割として求められていると考えています。

例えばXRが主流になりそうな時にスマートフォンでしか戦えないチームにならないようにしたいものですね。

②組織の技術的に可能なラインを拡げる

これは、チーム全体の技術力を合計したときの開発力と言えばよいでしょうか。

年々技術は進化しています。

例えばAWSは今年のre:Inventを見てみると2018年をContainer as a Serviceの時代にしようとしているのではないか、現状の殆どのサービスをコンテナに載せていく流れを求めているのではないかと思いますが、こうした流れを追いつつ、チームが次のインフラにおけるアーキテクチャで戦えるよう、それらを学習する場やプロダクトに投入する場を用意することが必要です。

常に世間を賑わせている技術や安定的に利用されている技術の知識を頭に入れた上で、自身のチームを強くしていくには何が必要か考え、そして必要な技術を社内勉強会なのか、プロダクトに導入できるレールづくりなのか、はたまた採用という手段で取り入れるのか、様々な手段を取ることで取り入れ、多くのメンバーがより技術的に強くなれるような方向を目指しています。


以上2点を意識しながら、現在は適宜新たな技術課題への対処に各チームを転々としつつ、また新規事業開発室として新たな技術導入を進めています。

ちなみに、下記のClouderaのCTOによる記事(の翻訳)は自分が考えている内容をより進めた素晴らしい記事だと思います。ぜひご一読ください。

qiita.com

最後に

ざっくりとですが、GunosyというチームにおけるCTOとは何か、その上で自身がCTOとしてどういったことを重視しているのかを書いてきました。

まだこの体制になってから半年ですが、現在は組織の技術的に可能なラインを拡げる活動ということで、新規事業開発室のメンバーと共にブロックチェーンやスマートスピーカー、VR/ARなどといった次にくるであろう新しい技術にも研究・開発としてトライし、また適宜それらをチームへ還元し、ユーザーに次なる価値を届けられるよう活動しています。

Gunosyでは様々なトライの場を用意できる環境が整ってきたと考えており、サービスを伸ばす定量的手法について学びたい、新たな技術をチームに導入していきたい、機械学習でよりサービスを進化させていきたいといった方をいつでも募集しております。

お仕事をご一緒できる方お待ちしています!

gunosy.co.jp