こんにちは。Android アプリ開発担当の plusnine と nagayama(@nagayan_dev)です。 2025 年 9 月 10 日から 12 日にかけて開催された、 DroidKaigi 2025 に参加してきました。 今回はその内容を簡単にご紹介したいと思います。

DroidKaigi 2025 とは
DroidKaigi とは、Android の技術の共有とコミュニケーションを目的としたカンファレンスです。今年で 11 年を迎えました。
昨年に続き渋谷ガーデンタワーで開催されました。初日の 10 日は Compose Multiplatform のワークショップが開催され、11 日と 12 日はセッションが行われました。
今年のセッションは 5 つの会場で 48 のセッションが行われました。全て 40 分で行われ、1 つのテーマに対して深く話を聞くことができました。
今年も昨年に続き、協賛企業の展示ブースでは活発なコミュニケーションが見られました。昨年までは「コードの正誤を判定する」といったクイズが多い印象でしたが、今年は「生成AIで作成されたコードはどれか」「このレイアウトを作成するプロンプトを書いてみよう」といった、AIに関連したクイズを出すブースが目立ちました。
参加証となる名札は事前に郵送されました。登録した名前とアイコンが印刷された名札に、デコレーション用のシールが同封されており、当日はそれを自由に貼ってアレンジし、首からかけて参加するスタイルでした。
また、毎年恒例となっているスタンプラリーも開催されました。協賛企業の展示ブースを回ってスタンプをもらうことで、その個数に応じて景品がもらえるというものになります。景品は最大 3 つ受け取ることができ、私はタンブラーとポーチ、子供用Tシャツを受け取りました。
ワークショップ
DroidKaigi 初日のワークショップでは、JetBrains 社から講師をお招きし、Kotlin Multiplatform と Compose Multiplatform を使ったクロスプラットフォームアプリ開発を学びました。 ワークショップでは、まず Kotlin Multiplatform アプリの基本的な構成から始まり、Android・iOS・デスクトップといった各プラットフォームでの実装分岐の方法を丁寧に解説していただきました。これにより、Kotlin Multiplatform を初めて触る人でも開発を始められるノウハウが得られました。 さらに、Compose Multiplatform を使うことで、各プラットフォーム固有の UI 実装知識がなくても、普段の Android 開発と同じ感覚で UI を構築できる点がとても印象的でした。データ保存など一部プラットフォームごとの実装は必要ですが、アプリ開発の大部分は共通コードでカバーでき、1つのコードベースから複数のプラットフォームに対応できるのは非常に革新的です。 これまで各プラットフォームごとに個別実装していた手間を考えると、まさに新しい時代の開発スタイルだと実感しました。とても刺激的で貴重な体験に、心から感謝しています。
セッションの紹介
参加したセッションの中から一部をご紹介します。
① はじめてのMaterial3 Expressive
Material3 Expressive は、2025 年 5 月に Google が発表した新しいデザインシステムです。「表現力豊かで、より感情に訴えかける UX」を目指しており、感情に響くモーションや、ユーザビリティ・アクセシビリティの向上が大きな特徴です。今回のセッションでは、Material3 Expressive の実装方法の紹介から始まり、既存プロダクトへの導入時に考慮すべき懸念点や注意点についても詳しく解説されていました。
個人的に一番驚いたのは、「表現力豊か」な UI を非常にシンプルな実装で再現できる点です。これまで Jetpack Compose ではコンポーネントが限られており、凝ったレイアウトやアニメーションは独自実装が必要でした。特に、Floating Action Button から表示されるメニューは、レイアウト作成に加えてアニメーションの実装まで行う必要があり、大きな負担となっていました。しかし Material3 Expressive では、アニメーション込みのコンポーネントが用意されており、インターフェースに要素を追加するだけで簡単に実装できます。もちろん導入にあたってはデメリットもありますが、適用可能な場面では積極的に取り入れていきたいと感じました。
② Androidライブラリアンの手引き:堅牢なライブラリとSDKの構築
堅牢、かつメンテナンスしやすいAndroidライブラリの構築と運用についてのセッションです。スピーカーの方(skydovesさん)が、実際の経験を通して得られた教訓をベースにしているとのことです。
セッション内容については、
Visibility Modifier(可視性修飾子)について- APIのライフサイクル(統廃合等)について
@Deprecatedを用いたpublic API段階廃止のルール例- バイナリ互換性(Binary Compatibility)について
- Rクラスの名前衝突を避ける方法(
Resource prefix等) - 推移的依存関係について
…等、実践的な知識・テクニック要素が色々ありました。
私自身も社内向けに内製ライブラリの実装・メンテナンスをしているため、これまで何となくで理解していた部分のおさらいや、すぐ取り入れられそうな手法など参考になる点が多かったです。特にルール・ドキュメンテーションに関わるものは雰囲気で運用されがちなので、これを機にちゃんと整備・見直しをかける習慣を構築していきたいと思います。
③ スマホ新法って何? 12 月施行?アプリビジネスに影響あるの?
こちら、12 月 18 日施行を控えた「スマホ新法」についてのセッションです。若干エンジニアリングとは毛色が違いますが、こういった類のセッションは珍しい気がするので紹介です。 公正取引委員会 官房参事官の方(鈴木さん)が、過去の経緯 ( 7 年程前から検討を続けてきたとのこと ) も交えつつ、その具体的な内容・既存ビジネスが受ける影響について解説されていました。
※ 詳細な指針等の成案についてはこちらのページを参照。
サービス・プロダクトと関わっていくうえで、エンジニアにとって開発はもちろんビジネス的な観点も大事です。ただそういった中で意外と考慮から漏れがちな法律周りのアップデートについて、改めて考える良い機会となりました。
まとめ
今年も DroidKaigi 2025 に参加しました。年々パワーアップしていくイベントで、今年も AI や Multiplatform といったホットなトレンドを存分に感じることができました。セッションやワークショップで熱い知見を届けてくださった登壇者の皆さま、そして最高の場を作り上げてくださった DroidKaigi スタッフの皆さまに、心からの感謝をお伝えします。