Gunosy Tech Blog

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いろんなやり方の読書会をやってみたら当日音読その場でまとめ方式が最高だった話

こんにちは、SRE チーム マネージャーの TksYamaguchi です。

こちらの記事はGunosy Advent Calendar 2023の3日目の記事です。 前回の記事は森田さんの LLM 論文の探し方でした。

概要

SRE チームは、シニアエンジニアとジュニアエンジニアで構成されているチームで、チーム内の技術的な知識の偏りの解消や、知識のタコツボ化の解消を目的として読書会をしてきました。

その過程でいろいろな読書会のパターンを行ってきましたので、その結果を共有します。

読書会開始前の SRE チームの課題感

前述の通り、SRE チームは2名で構成されていて、TksYamaguchi はマネージャーです。

チームメンバーのバックグラウンドも異なり、また読書会開始前の時点ではセキュリティ施策は主に私が担当してたため、セキュリティに関する知識や、その他技術スキルに偏りがある状態でした。

今後セキュリティやその他施策を全社展開していくにあたり、スキルや知識の偏りがタスクアサインに影響を与える可能性があるため、読書会を通じてお互いの技術移転や知識伝搬を行うことを計画しました。

社外事例を調査すると、読書会のやり方にはさまざまな方式があり、また社内でも複数のパターンが見受けられましたので、チームに適用できそうな方式は積極的に試してみました。

今回は業務に必要な知識を、業務時間を使って得ることを目的としているので、業務外時間をできるだけ使わない方式を模索しました。

読書会 のやり方の整理と評価の観点

やり方

検索してみるといろんなやり方がありましたが、こんな感じで整理しました。 開催タイミングもパラメーターとしてはありますが、今回は業務時間に業務に必要な知識をチームで得るという目的のため除外しています。

  • 事前準備の有無
  • まとめの作成の有無とその方法
  • 議論の証跡作成の有無
  • 議論のまとめ作成の有無とその方法
  • 音読の有無

評価の観点

いろんな観点があると思いますが、今回はこんな観点で整理しました。

  • 手軽さ
  • 理解の深まりの程度
  • ストック情報が残るか
    • 後で見返した時に役に立つか
  • 読書の進むスピード

評価値は 5 点満点で★の数で表します。

実際にどんな読書会をやってみたかを以下に記載します。

当日音読・Slack に投下する方式

読書会当日に、範囲を決めて一人が音読(節単位)して、音読した範囲についての感想や、参考記事を Slack のスレに投下していく方式です。

こんな感じで進めました。

  • みんなで集まって、1 人が音読
    • 音読担当は節単位で交代
  • 気になったところ、重要だと思うところを Slack のスレに書く
    • 参考記事があればそのURLもスレに書く
  • 節単位にみんなで議論する
    • 議論の中でチームに持ち帰って改善できる内容が無いかを毎回確認する
  • 議論した感じたことや重要だと思うことをそれぞれスレに書く

実際のまとめ

クラウドセキュリティ本を読んだ時のSlackのスレ

方式詳細

パラメータ
事前準備
まとめ作成
まとめ方法
議論の証跡作成
議論のまとめ作成
議論のまとめ方法
音読

評価

評価指標 結果
手軽さ ★★★★★
理解の深まりの程度 ★★★
ストック情報が残るか
読書の進むスピード ★★★★★

手軽に読書会できる点は良く、理解も読書会時点では深いのですが、後で見返すものが散文的な Slack だけになるのが問題点です。

しかし、読書会の回数をこなしてその本に慣れてくると口頭での議論で済ませてしまい、加えて Slack への投下が少なくなる傾向が見られました。

メリット

  • お手軽
  • 進みが早い

デメリット

  • 理解の程度が浅くなりがち
  • ストック情報が残らない

事前に読んで Miro*1 に付箋・当日議論する方式

これは朝会で確保していた時間が余りはじめたので、余った時間で読書会にチャレンジしてみた時にやってみた方式です。

こんな感じで進めました。

  • 各自で事前に数ページを読んで、 気になったところ、重要だと思うところを Miro に付箋で貼る
  • 当日、お互いの付箋で、気になるところ議論したいところを投票する
  • 投票数が多いものから順にみんなで議論して理解を深めていく
    • 議論した内容は Miro に付箋で残す
  • 最後にチームに持ち帰って改善できる内容が無いかを確認する
    • 持ち帰れる内容を Miro に付箋で残す

実際のまとめ

入門監視を読んだ時のMiro

方式詳細

パラメータ
事前準備
まとめ作成
まとめ方法 Miro に付箋
議論の証跡作成
議論のまとめ作成
議論のまとめ方法 Miro に付箋
音読

評価

評価指標 結果
手軽さ ★★★
理解の深まりの程度 ★★★★
ストック情報が残るか ★★★
読書の進むスピード ★★★

事前読書と付箋のまとめ作成がある分だけ負担が高く、負担を高くしすぎないために数ページづつ読むことにしたので読書の進みもイマイチでした。 付箋で気になったところを残して、当日議論して、議論した結果も付箋で残したので理解の深まりも良く、後から見返すものもあり、短時間で行うには良い方法でした。

ただ、ストック情報になっているのはあくまで読書会に参加した人たち用のストック情報なので、再利用性がないのが問題点です。

メリット

  • 理解が深い
  • 情報がストックされる

デメリット

  • 事前準備の負担がある
  • 進みが遅い
  • ストックされる情報が自分たち用

当日黙読・その場で Miro に付箋・当日議論する方式

事前に読んで Miro に付箋・当日議論する方式 の事前に読んで Miro に付箋を貼るところを当日やってみました。

こんな感じで進めました。

  • みんなで集まって、40 分で1章を黙読
  • 気になったところ、重要だと思うところを Miro に付箋で貼る
  • 当日、お互いの付箋で、気になるところ議論したいところを投票する
  • 投票数が多いものから順にみんなで議論して理解を深めていく
    • 議論した内容は Miro に付箋で残す
  • 最後にチームに持ち帰って改善できる内容が無いかを確認する
    • 持ち帰れる内容を Miro に付箋で残す

実際のまとめ

SRE本を読んだ時のMiro

方式詳細

パラメータ
事前準備
まとめ作成
まとめ方法 Miro に付箋
議論の証跡作成
議論のまとめ作成
議論のまとめ方法 Miro に付箋
音読

評価

評価指標 結果
手軽さ ★★
理解の深まりの程度 ★★★★
ストック情報が残るか ★★★
読書の進むスピード

事前準備がない分だけお手軽かと思ったのですが、当日黙読で理解して感じたことを付箋を貼っていくのが思いのほか負荷が高く、数回で断念しました。

メリット

  • 理解の深まりはある
  • 情報がストックされる

デメリット

  • 負荷が高い
  • 進みが遅い
  • ストックされる情報が自分たち用

当日音読・その場でモブで Miro にまとめ方式

当日音読の手軽さに気付いたのと Miro にまとめるのが思いのほかよかったので、それを組み合わせてみました。

こんな感じで進めました。

  • みんなで集まって、1人が音読
    • 音読担当は節単位で交代
  • 気になったところ、重要だと思うところをみんなでワイワイしながら Miro に付箋で貼る
    • 参考記事があればその URL も Miro に貼り付ける
  • 節単位にみんなでワイワイ議論する
    • 議論の中でチームに持ち帰って改善できる内容が無いかを毎回確認する
    • 持ち帰れる内容をみんなでワイワイしながら Miro に付箋で残す

実際のまとめ

SRE本を読んだ時のMiro

方式詳細

パラメータ
事前準備
まとめ作成
まとめ方法 Miro で付箋
議論の証跡作成
議論のまとめ作成
議論のまとめ方法 Miro で付箋
音読

評価

評価指標 結果
手軽さ ★★★★★
理解の深まりの程度 ★★★★★
ストック情報が残るか ★★★
読書の進むスピード ★★★★

まとめも議論もワイワイしながら Miro に付箋を貼っていくので、ワーク感があって楽しめます。

メリット

  • お手軽
  • 楽しい
  • 理解が深まる
  • 意外と進みが早い

デメリット

  • ストックされる情報が自分たち用

当日音読・その場でモブで Confluence にまとめ方式

Miro にまとめると自分たち用の域をでないので、思い切って Confluence にまとめてみました。

こんな感じで進めました。

  • みんなで集まって、1人が音読
    • 音読担当は節単位で交代
  • 気になったところ、重要だと思うところをみんなでワイワイしながら Confluence に書いていく
    • 参考記事があればその URL も Confluence に貼り付ける
  • 節単位にみんなでワイワイ議論する
    • 議論の中でチームに持ち帰って改善できる内容が無いかを毎回確認する
    • 持ち帰れる内容をみんなでワイワイしながら Confluence で残す

実際のまとめ

SRE本を読んだ時のConfluence

方式詳細

パラメータ
事前準備
まとめ作成
まとめ方法 Confluence に箇条書き
議論の証跡作成
議論のまとめ作成
議論のまとめ方法 Confluence に箇条書き
音読

評価

評価指標 結果
手軽さ ★★★★
理解の深まりの程度 ★★★★★
ストック情報が残るか ★★★★★
読書の進むスピード ★★★

まとめも議論の過程結果を Confluence にまとめるのは、付箋よりも負担感はありました。 ただ、後で再利用可能な情報がストックできるのは大きい利点です。

メリット

  • お手軽
  • 楽しい
  • 理解が深まる
  • 再利用できるストック情報が残る

デメリット

  • 進みが遅い
  • まとめ作業の負担が付箋よりも大きい

例外: BlackBelt の動画をみんなで見る会

これは、AWS BlackBelt で公開されている動画をみんなで見ながら Slack のスレで議論したり、見終わった後に感想戦をする形式になります。 初期は BlackBelt 読み会として担当者が資料を読み込んでみんなに説明する形式で始めたのですが、試しに動画見ながらみんなでワイワイ議論してみたら、そっちの方が準備が楽でさらに学びがあったので、今の形式に落ち着いています。

こんな機能があったんだーとか、こっちのプロダクトではこんな感じでつかっているよー、みたいな感じでチーム間での情報交換も出来てお手軽なんですが、楽しい会です。

こんな感じで進めました。

  • 担当者を決める
  • 当日までに担当者がみんなで見る動画を決める
  • Meet 上に集まって、担当者が動画を再生してみんなで鑑賞( Meet でタブを共有すると動画の音声も流せる)
    • 鑑賞しながら気になったところとか、参照URLとかをみんなでワイワイしながら Slack のスレに書いていく
  • 動画が終わったら、マイクをONにしたりでみんなで議論したりする
  • 最後に次の担当者を決める

実際のまとめ

実際の議論スレ

方式詳細

パラメータ
事前準備
まとめ作成
まとめ方法
議論の証跡作成
議論のまとめ作成
議論のまとめ方法
音読

評価

評価指標 結果
手軽さ ★★★★★
理解の深まりの程度 ★★★★
ストック情報が残るか ★★★
読書の進むスピード ★★★★★

お手軽さは最高ですし、みんなでワイワイ議論しながら理解も深められるので、用途が合えばお勧めです。

メリット

  • お手軽
  • 楽しい
  • 理解が深まる

デメリット

  • 対象が BlackBelt で公開されているものだけになる
  • ストック情報が残らない

まとめ

今のところは、しっかりまとめたい時は「当日音読・その場でモブで Confluence にまとめ方式」、議論して発散させたい時は「当日音読・その場でモブで Miro にまとめ方式」が良さそうな感じでした。

読書会の方法もいろいろあり、目的や使える時間、許容可能な負担感に合わせて開催することで、持続可能で意義のある読書会になると思います。 今回の取り組みが参考になれば幸いです。

明日は m-hamashita さんが GitHub 上でブログのレビューをおこなっている話について書くそうです!お楽しみに!