こんにちは。QAエンジニアのakinkです。
1/8-10で開催されたRegional Scrum Gathering Tokyo 2020に参加してきました。
この記事ではDay2の参加レポートをお送りします。
※1日目のレポートはこちら
tech.gunosy.io
- 基調講演 Lost in Translation: The Manager’s Role in Agile
- アジャイルUXリサーチLive! ~ 「即席」ユーザーテスト見学会
- キャリアパス考察:開発者と動くQAテスターからチーム支援するスクラムマスターへ
- まとめ
基調講演 Lost in Translation: The Manager’s Role in Agile
この講演では、
アジャイルな組織に変えていくには、マインドセット(人・組織文化)の変革が鍵。文化の肥沃な土壌がないところにプロセス(種)だけを導入しようとしても育たない。その文化をどう作り上げていくべきか?というテーマが役職、組織形態、XY理論といったさまざまな角度から語られた基調講演でした。
内容が多岐に渡るため、個人的に心に刺さったトピックを挙げてみます。
マネージャーが権限をシェアしていくこと
- 人に進化してもらう過程で、自らの権限を与えていく必要がある
- 権限を共有する=一つ一つの意思決定の機会を与えること
- 一気に与えると、失敗するので小出しに権限を移譲して実験を繰り返す
- 人間は「自分が責任を持っている時、意思決定をよりよいものにしようという意識が高くなる」特性があるので、その特性を踏まえて、責任とセットで意思決定を委任しよりよい意思決定を実現する後押しをするとよい
- Advice Process*1 やDelegation Porker*2の活用も有効
自己組織型チーム→相互関連型チーム
- 相互に関連性をもって仕事しないといけないチームに自律的になれ!というだけだとうまくいかず、部分最適(各チーム内最適)になりがち
- そもそも、全員が大人として自分の行動に責任を持つという意識があってはじめて自己組織型がなりたつ
- 相互関連型の組織を実現していくために、マネージャーは会社にとって価値をもたらせる立場を見つけることが重要(形は様々)
└チーフスクラムマネージャー・コーチとして(People Development)
└テクニカルリード/アーキテクト など
アジャイルUXリサーチLive! ~ 「即席」ユーザーテスト見学会
こちらは「ユーザビリティ評価」の手法の一つである「ユーザーテスト」を実演する様子を見学できるワークショプでした。
実際のアプリの特定機能に対して、以下の流れで行われました。(計30分程)
対象アプリ:メガネのバーチャル試着が可能なアプリ 1. 事前インタビュー - メガネ歴何年? - 視力は? (裸眼、矯正) - 今のメガネはいつどこで買った? - 今のメガネ購入時重視した点は?(色、形、フレーム) 2. <タスク実行観察> 事前説明 - 普段お使いになるときと同じように操作してください - 操作を失敗しても気にしないでください。テストしたいのはアプリであって〇〇さんではありません。 - 思ったことはすべて口に出してください。何をしようとするか、それはなぜか?を話しながらタスクを行ってください。 - 質問を無視するかもしれませんが、聞いてないわけではありません。あくまで一人で操作する様子を見てみたいためです。 3. <タスク実行観察> シナリオ (状況) 説明 - (今仮に)あなたはメガネをそろそろ買い換えようとしています。 - そこで「メガネの試着と似合い度が判定できる」という〇〇アプリを使ってみることにしました。 4. <タスク実行観察> タスク実行 【タスク1】 会員登録をしてください 【タスク2】 試着して似合うメガネを探してみてください 【タスク3】 お気に入りしたメガネを試着できる店舗を探してみてください 5. 事後インタビュー - 今の率直な感想を教えてください - どういう点は良かった? - どう酷かった? - その他、使いながら感じたことは?→その理由は? - 今日の体験を元にストアレビューつけるとしたら★いくつ?→その理由は? - 今日のテスト終わったあと、このアプリ使い続ける?一応残しておく?削除する? →その理由は?
一番参考になったのは「思考発話法」という手法です。
ユーザーに思ったこと・やろうとしたことをすべて口に出してタスクを行ってもらう手法なのですが、ユーザーが躓くポイントとその前後の感情をセットで知ることができるため、「どこでなぜ失敗したか?」が分かり改善策を考え易くなりそうでした。
ユーザーテストというと「ユーザーの声をヒアリングしてレビューしてもらうこと」という印象を持たれがちですが、どこが問題で何を解決すべきかはプロダクトチームで考えるべきで、そのインサイトをユーザーテストで得ることが有効という学びを得ました。*3
詳細は下記の書籍に書いてあるそうなので読んでみようと思います。
キャリアパス考察:開発者と動くQAテスターからチーム支援するスクラムマスターへ
CI&Tさんでは、キャリアパスとしてテスターの次にスクラムマスターのポジションを設けているそうです。
発表者の中村さんは「テスターは問題を探す仕事」「スクラムマスターは問題を解決する仕事」と定義し、テスター時代に身に着けた経験を生かしてスクラムマスター業に取り組んでいるとのことでした。
複数ロールの経験によってプロダクト開発に貢献するための引き出しが増えた事例として素敵なお話でした。
まとめ
この3日間を通して、アジャイルはよりよいやり方を見つけるための学びの文化であり、コントロールされた環境下で様々な実験を行い小さく早く失敗することが重要だと痛感しました。
特に、今年は企画段階での実験をテーマにしたワークショップが複数あったり、業務時間中にLearning Sessionを取り入れる*4など学ぶ時間・予算を与える組織づくりを体現しているチームも増えていた印象です。
一日目の基調講演では、
「スプリントの50%は失敗するべき。スプリントで基準にするのは平均的なベロシティなので、50%失敗に終わってないと計画段階で守りに入っているのと一緒。なぜなら、失敗しなければ改善するインセンティブが生まれないから。」という前向きなお話も聞けたので、個人としても恐れずに?様々なことに挑戦していく1年にしたいと思います。