はじめに
新規事業部の UT です。
これは Gunosy AdventCalendar 2024 の11日目の記事です。
以前はリードエンジニアとして従事していましたが、約1年半前にエンジニアリングマネージャーへと役割を変えました。
この記事が、キャリアについて悩んでいる方々の参考になれば幸いです。
エンジニアリングマネージャーへの転換
まずエンジニアリングマネージャーへの役割転換は、上司からキャリアの中での経験としてプラスなのでやってみないか?というアドバイスを受け、引き受けることにしました。キャリアスタートからマネージャーになりたいという人は自分の観測範囲ではあまり多くなく、大体はこのように推薦されてなる方が多いのではないでしょうか?私も例にもれず、同様の経緯でマネージャーになりました。
技術から離れてしまって自分の得意領域から遠ざかってしまい、価値が出せなくなるのではという心配も少なからずあり、この選択は一時的には不安でもありました。
この職種の転換は、自分としてもチームの技術的な課題を解決することから、人々の成長とチームの成功を支援する立場への大きな変化だったはずでしたが、同じチーム内でスタートしたことと、元々リードエンジニアのときもチームの成長という責務を持っていたため、実際エンジニアリングマネージャーになったあともあまり大きく意識せず進めていました。
リードエンジニアとして意識して実行していたことは、技術的な意思決定の主導だったり、技術的な問題解決の中心的役割、チームメンバーへの技術的なメンタリングなど技術にフォーカスした動きでした。
リードエンジニアの延長でのマネジメントをしていると、基本的には技術的に困っていること、技術的な話に終始しがちです。
マネージャー職でありがちな、チーム全体の方向性とそれぞれのメンバーをどのように支援していくかを優先するべきところを、自分自身の進捗を感じられず実装タスクを取ってしまう罠です。
またエンジニアリングマネージャーになってから半年ほどで、新規開発チームへの移動もあり領域を大きく変えました。 と同時に今まではドメイン領域に詳しかったため簡単にできていたチームのタスク相談が、新規に移動することで今までのドメイン知識がほぼ使えなくなり、急に自分への価値に悩むことが増えました。
フィードバックの価値
そんな中、会社として社外の方にマネジメントのコーチングとして1on1をつけてもらえることになりました。
新卒のときは、色々フィードバックを上司にもらっていましたが、マネージャーになるとそもそもフィードバックをもらえるタイミングが激減します。 コーチングの1on1の際に、フィードバックを受け、ときには厳しい言葉をいただくと改めてフィードバックの重要性を感じました。 このような機会を提供してくれている会社には感謝しています。
もちろん、フィードバックがなくても自己啓発や自主学習を通じて継続的に成長できる方もいるでしょう。 しかし私自身は、外部からの客観的な視点やアドバイスなしでは、自分の課題や改善点を適切に把握し、効果的な成長を遂げることは非常に困難でした。 特に新規事業での新しい役割や環境に適応しようとする際には、経験者からのフィードバックは良い学びの機会となりました。 このことから考えると、私たちもメンバーに対して積極的にフィードバックを行うことが重要だということがわかります。 さらに、メンバーの成長を促すだけでなく、私たち自身も相手の意見を聞き、新たな視点を得ることで、組織全体のレベルアップに貢献することができます。
また1on1の中でマネジメントは経験から学ぶのではなく先人たちに学ぶとよいとアドバイスを受けました。 確かに、実際の経験は必要ではあるものの、マネジメントは歴史が長く、その歴史で蓄積された成功事例や失敗事例から学ぶことは、より効率的な成長につながると考えます。 なぜなら、マネジメントはテクノロジーと異なり、人間関係を基盤とするため、経験だけで対応するのは非常にリスクが高いからです。 特にメンバーへのフィードバックは、マネジメントの中でも重要な要素であり、フィードバック方法を間違えるとメンバーの成長を阻害することになりかねません。 最悪の場合、メンバーとの信頼関係を損ない、チーム全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすこともあります。
メンバー一人ひとりが、より良いマネジメントを受けたいと願っているはずなので、過去の成功事例や先人たちの知恵を積極的に学び、実践していくことが重要です。
読書の価値
歴史から学ぶとは、結論書籍から学ぶということです。
最後に本記事では、私が読んできた書籍の中で、特に影響を受けたものを紹介します。
1. 急成長を導くマネージャーの型
ベンチャーなどの急成長している企業でのマネジメントとはどう進めればよいのかを、実際にベンチャーでマネジメントをした著者が解説している書籍です。
ベンチャーにおけるマネージャーは経営陣が何を求めているかを理解し、経営陣が求めている成果を出すという言葉の通り、単純にお困り相談室ではなく、経営目線に合わせたチームマネジメントが求められるということです。
今私が従事している新規事業においては、マネージャーは役割にこだわっている場合ではなく、いかに成果に最短で向き合えるかが重要なので、上記の言葉は重く受け止めました。
また、本書ではベンチャーで行うマネジメントはプレイングマネージャーであるという前提で語られています。プレイングマネージャーは一般的にアンチパターンとされていますが、私自身はプレイングマネージャーとして活動しています。著者の状況が自分の経験と重なっていたため、より深く内容を理解することができました。
一方成果にこだわるという視点は共通しつつも、特に印象的だったのは、メンバー一人一人の本質的な成長と成功へのコミットメントが、マネージャーとしての持続的な成果につながるという指摘でした。これは私がリードエンジニアのときから意識していたことではありましたが、一人で成せるものの大きさはたかが知れているので、チーム全体の能力を引き上げ、チームで達成することを優先することを改めて再認識しました。
新規立ち上げで直面するチームの課題であるなかなか成果が出ない時期をどう乗り越えるかについて、まさに悩んでいた時期でもあったので、「モメンタム」を作ることの重要性を感じ、プロダクトへのフィードバックをどう増やすかに注力するよう変化しました。
2. キャリアづくりの教科書
本書は学生から経営陣まで、それぞれのキャリアステージに応じたキャリアデザインの方法について解説しています。
この本を読むことでまず自身のキャリアに関して注意が向き、漫然と仕事をしていないか?市場価値をしっかり高められているか?という危機感を改めて認識させられました。
マネージャー職のキャリアに関しても丸1章言及されており、そこでの一番シビレた言葉がキャリア形成を支援できないマネージャーは評価されないという言葉で、やはりまだプレイヤーとしての意識が強く残っていた自分には大きく殴られたような感覚を持ちました。
そこから改めて自分はメンバーのキャリア支援ができているのかと(やっと)自問し始めました。自身はプレイングマネージャーとして働いているため、どちらかというとプレイングの方に比重を置きがちでしたが、改めてマネージャーとして役割を引き受けているのであれば、キャリア支援しなければ価値はないと気付かされた一冊です。
キャリアづくりというタイトルから自身のキャリアを作る話だけかと思われる方も多いと思いますが、メンバーのキャリア支援をどうするか、各個人を成長させる組織をどのように作っていけばよいか、というところまで踏み込んでいます。
メンバーの退職という出来事も重なり、マネージャーとしての役割を深く考えるきっかけとなりました。同じような課題に直面している方には、ぜひ一読をお勧めします。
まとめ
この1年半でマネジメントに対する意識の変化について紹介しましたが、実際行動というところでいうとまだまだ足りていないところだらけです。
果たして今どこまで自分がチームを最大化するためのマネジメントができているかはわからないですが、少なくとも一緒に働いて成長できた、キャリアとして良い時間を過ごせたと思ってもらえた上でチームとしての成果も出せるようなマネジメントができるように頑張っていきたい所存です。